起業前後には、創業メンバー集め、事業選定、資金調達について相談出来る相手もなかなかおらず、悩みが尽きることはありません。「起業家1年目の教科書」では、創業期の起業家から多数出た質問を中心に、現役で活躍する、様々な若手起業家から生の声をいただいています。
今回は、美容医療の口コミ・予約アプリ「トリビュー」を運営するトリビューの毛 迪氏に、「起業家1年目の教科書」インタビューとして語っていただきました。
目次
- 【事業選定の方法】「興味の強さ」と「自分の強み」に向き合うこと
- 【創業メンバーの見つけ方】エンジニアとの仕事経験がない中、150人と話をして創業メンバーを探す
- 【創業期に気づけて良かったこと】「不足」を認識し、人に聞く。
- 【起業家一年目の教科書】起業家にすすめる3つのこと
- 【Message】WITH COVID-19 の時代に起業する人達へ
(毛 迪さんプロフィール)
毛 迪(もう・でい)|トリビュー代表取締役。立教大学卒業後、リクルートでブライダル領域のカップル集客マーケティングや広告立案を担当。その後アーキタイプ社にて大企業向け新規事業立案や出資先の支援などを経て、2017年株式会社トリビューを創業。美容医療の口コミ予約アプリ「トリビュー」をリリース。
Contents
【1.事業選定の方法】「興味の強さ」と「自分の強み」に向き合うこと
毛 迪氏:事業選定ではまず、「自分が興味を持って働き続けられるか」を大切にしました。起業するなら、自分が興味を持てることでないと長期間取り組むことは辛いだろうと思ったからです。
自分の人生を振り返ると、「美容」と「外国語教育」という2つのテーマは、私にとっても価値が高く、事業としても興味を持てると思いました。
私は、中国で生まれ、5歳から日本に住んでいます。はじめは全く日本語が話せなくて、馴染めずにとても苦労しました。その時に、すごくオシャレを頑張って学校に行ったら、皆の反応が変わりました。それからは一生懸命ダイエットをし、メイクをして、流行りの服を着きていました。
美容に気を使うようになったことで、友達もどんどん増えました。見た目に少し気を使うだけで、人の印象は大きく変わるということに気付き、私の人生にも大きな影響を与えた体験になりました。
もう一方の「外国語教育」については、私自身2ヶ国の言語を話せたことで、常識だと捉える幅が広がり、自分の人生も影響を受けました。
こうして、自分自身が興味を持てる、人生に影響を与えた2つの領域で事業を考え出し、「誰に対して、どんな価値を提供するのか?」、「どのようなマーケットで戦うことになるのか?」、「どのようなサービスにするのか?」などを紙に整理しました。当時100個くらいは事業を検討したと思います。
検討する中で、起業するまでに営業とマーケティングに携わった経験、ブライダル関連で女性の感情に寄り添う事業に関わっていたことは強みになると思いました。また、スタートアップを見ると「美容医療」に熱量を持っている人は少なかったこともあり、私自身が美容医療のユーザーであったことも強みになると考え、この領域で事業をつくることを決めました。
全ての起業家が人生をかけて勝負しているからこそ、「興味の強さ」と「自分の強み」がフィットしていないと成功できないと思っています。
【2.創業メンバーの見つけ方】エンジニアとの仕事経験がない中、150人と話をして創業メンバーを探す
毛 迪氏:創業するときのメンバー集めでは、エンジニアを見つけるのに一番苦労しました。アプリの開発が必要だったので、エンジニアは必須でした。前職の頃から1年かけてエンジニアを探し、土日を使って開発をしていました。
私は、「創業期だからこういう人がいい!」と言うよりも、「一緒に並走して手伝ってくれる方を探したい!」と言う気持ちが大きかったです。一方で、とにかくリリースするということが最優先である時期でした。
起業するまでは、エンジニアの方と関わることもほとんどなく、「どうやってコミュニケーションを取れば良いのか」から戸惑っているような状況でした。分からないなりにも、色んなエンジニアさんに会い、自分に合った方を探し続けました。
150人ほどの方にお時間をいただき、なんとか一人、手伝ってくれる方が見つかりました。
先行きが分からないリリース前に手伝ってくれるというだけで感謝しかありませんでした。それから、法人化する時には、私を含めたフルタイム2名と副業2名がいて、創業1年半はその3名が開発に注力してくれていました。
【3.創業期に気付けて良かったこと】「不足」を認識し、人に聞く。
毛 迪氏:創業期は特に、詳しそうな人に話を聞きにいくようにしていました。聞きたいことができたら、その道に詳しそうな人にすぐ話を聞きにいくようにしています。特に創業期、右も左も分からない時期に、この習慣を徹底するということは、本当に良かったです。
「サービスを作る」と一言で言っても、サービスを作る上で、考えねばならないことは色々ありますよね。少し思い浮かべるだけでも、開発・デザイン・マーケティング、など…。
自分が困っていることを細分化し、それぞれ詳しい方に相談していました。例えば、トリビューの場合、当初「ユーザー同士がコメントをお互いにしていること」を理想にしていました。しかし、投稿にコメントはされている一方、コメントに対して返信はされていないという課題がありました。
この課題を解決するためにも、プッシュ通知やサービスの空気感について自分で仮設をたて、そういった点で成功していると思うサービスを調べ、そのサービスを作った方に会いに行くようにしていました。
自分に足りていないということを認識し、その課題を明確にした上で適切な方に相談することができれば、右も左も分からない創業期からでも、補っていけることをこの習慣から学びました。
【4.起業一年目の教科書】起業家にすすめる3つのこと
1)その事業を作る価値を感じられるか
毛 迪氏:自分が腰を据えて取り組むことで勝てる事業か見極めることはすごく大事だと思っています。他の誰でもなく自分がやるから勝てる理由があるかどうかです。
思いの強さ、スキル、コネクション、資格など、理由の詳細・根拠は、何でもいいんです。創業して常に上手くいくことは確実にありません。辛い時期を乗り越えねばならない時もあります。辛いことがあるとモチベーションが下がりやすくなりますが、その時も自分がその事業を作る価値を感じることで乗り越える力になりうるのです。トレンドの波がきている市場だからという理由で参入するよりも、自分がやる意味を持っていた方が強いと思います。
2)適切な相談相手を見つける
毛 迪氏:人に何か質問するときは必ず「適切な相談相手」に聞くことを意識しています。C向けのアプリを作っていた人がBtoBの営業に詳しいか?と言われたら、そうではないですよね。皆それぞれの得意領域があるからこそ、それぞれの質問を適切な人にきちんと聞くことが大事です。
株主の方々や、先輩起業家などのコミュニティで、「〇〇が得意な方、知りませんか?」と聞くと、基本的にはみなさん教えてくれます。そういった時に、きちんとその人に聞きにいくと良いと思います。
3)伸びる市場か見極めること
毛 迪氏:リサーチのデータから伸びるマーケットを見るとは思います。ただ、その観点だけでなく、「現在存在しているサービスで満足させられていない人がいる場所」を見つけることが肝だと言えます。
これまでになかったサービスやプロダクトが既存の市場から置き換えられて、新しい市場が生まれています。既存のサービスで満足していない人がいる場所を見つけて、その分野にどのようなサービスを提供することで、市場が成り立つかを見極めるのはひとつの視点として認識して良いでしょう。
「伸びる市場」というのは、今伸びている市場ではなく、伸びる兆しのある市場です。実は特定のコミュニティや領域で盛り上がっている市場を見つけにいくことだと思います。私がもう一度起業するとしたら、この観点は大事にします。
今、会いたい人
毛 迪氏:サービス作りが好きな人に会いたいです!
ユーザーの心を掴めるプロダクトやサービスを作ることを、会社のテーマとしています。エンジニアもマーケターも営業の方に関しても、ひとつの機能・クリエイティブ・サービス面などの全てで、ユーザーの心に刺さる体験を作りたい人。そんな人にぜひ会いたいです。
採用中なので、興味を持った方は是非、ご連絡ください。
WITH COVID-19 の時代に起業する人達へ
毛 迪氏:Withコロナで人間の行動や生活、価値観が変わる今のタイミングだからこそ伸びるサービス・事業があると思います。例えばリモートワークも一つの現象でしかなく、「リモートワークが増えた次に何が起こるか?」が大事です。生活様式が変わる今がチャンスでもあるので頑張ってください!
さいごに:起業、資金調達、シードラウンドでの相談 | シード投資家「THE SEED」
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