スマートフォンが浸透し、我々の生活には、ネットが欠かせない存在に。
そんな時代の変化は、小売の構造にも革命を起こそうとしているーー。
D2Cと呼ばれる小売の形態が現れ、様々な会社が生まれている今。
この「小売」について、関わりの深い「決済」と共に「小売×決済」というテーマでhey の佐藤 裕介氏、coineyの佐俣 奈緒子氏が、語ってくださいました。
本イベントは、シードVC「THE SEED(ザ シード)」が運営する #THESEEDMEETUP の書き起こし記事です。イベントの内容を全て書き起こしたところ「2万字」にも到達してしまいました。長文になっておりますが、ぜひお楽しみください。
また、この記事が参考になった方には、下記もオススメです。
【目次】
0. 1分で読める記事のまとめ
1. 決済に関わりはじめたきっかけ
2. 小売の機能とは?「人の流れ」と「情報の流れ」を持ったメディア
3. 金融テクノロジーと大型百貨店の登場
4. 総合スーパーの始まり:60、70年代の「テレビ」の強力な磁力
5. 総合スーパーの普及:テレビCMと大量生産による商品
6. 店舗側が交渉力を持つ時代:「商品」よりも「陳列棚の確保」が重要に
7. スマホが起こす「小売のコスト革命」:Amazonの売上構成
8. メディアとテクノロジーの多様化がニーズを分割する小売とメディアの深い結びつき
9. D2Cの本質:「 いまのところ CRM 革命」
10. heyを始めて一番驚いたECプラットフォームの「集客」
11. ニューリテール:「体験価値」がデジタル CRM に変換されることを重視した店舗設計
12. 決済の本質:様々な情報がデータ化されていること
13. 小売と決済の結びつき
14. heyとは
【登壇者紹介】
(写真左:佐藤 裕介氏)
2008年、Googleに入社し、広告製品を担当。2010年末、COOとしてフリークアウトの創業、及び株式会社イグニスにも取締役として参画。2014年6月にはフリークアウト、イグニス共にマザーズ上場。2017年1月、フリークアウト・ホールディングス共同代表に就任。現在エンジェル投資家としても活動。
(写真右:佐俣 奈緒子氏)
1983年生。広島県出身。2009年より、米ペイパルの日本法人立ちあげに参画。加盟店向けのマーケティングを担当し、日本のオンラインサービス/ECショップへPayPalの導入を促進。2011年10月にペイパルジャパンを退職後、2012年3月にコイニーを創業。
Contents
- 1 0. 1分で読める記事のまとめ
- 2 1. 決済に関わりはじめたきっかけ
- 3 2. 小売の機能とは?「人の流れ」と「情報の流れ」を持ったメディア
- 4 3. 金融テクノロジーと大型百貨店の登場
- 5 4. 総合スーパーの始まり:60、70年代の「テレビ」の強力な磁力
- 6 5. 総合スーパーの普及:テレビCMと大量生産による商品
- 7 6. 店舗側が交渉力を持つ時代:「商品」よりも「陳列棚の確保」が重要に
- 8 7. スマホが起こす「小売のコスト革命」:Amazonの売上構成
- 9 8. メディアとテクノロジーの多様化がニーズを分割する小売とメディアの深い結びつき
- 10 9. D2Cの本質:「 いまのところ CRM 革命」
- 11 10. heyを始めて一番驚いたECプラットフォームの「集客」
- 12 11. ニューリテール:「体験価値」がデジタル CRM に変換されることを重視した店舗設計
- 13 12. 決済の本質:様々な情報がデータ化されていること
- 14 13. 小売と決済の結びつき
- 15 heyとは
- 16 さいごに:起業、資金調達、シードラウンドでの相談 | シード投資家「THE SEED」
0. 1分で読める記事のまとめ
こちらの記事は、分量が多いため、忙しい方にも読んでいただけるように、3つのポイントを抜粋しました。
興味を持って頂けましたら、是非文章をお読み下さい。
1. 決済に関わりはじめたきっかけ
佐俣 奈緒子氏:佐俣です、よろしくお願いします。
私は、一番最初に入った会社が PayPal というオンライン決済のアメリカの会社です。その日本法人を立ち上げのタイミングに3人目ぐらいで入りました。
その後、 コイニーという現在の会社を立ち上げまして、去年からheyをさとくん(佐藤さん)と一緒にやっています。
決済自体には10年ほど関わっています。むしろ決済以外関わったことがないかも。
佐藤 裕介氏:どうして、最初にPayPal に入ろうと思ったの?というか何で決済やろうと思ったの?
佐俣 奈緒子氏:実はたまたま知り合いから、「ちょっと手伝って欲しい会社があるからアルバイトに来てくれない?」って言われたんです。たまたまその会社が PayPal でした(笑)。
佐藤 裕介氏:それは学生のとき?
佐俣 奈緒子氏:そう。学生の時。金曜日にお話に行ったら、「月曜日から来て欲しい」って言われて(笑)ちょうど日本法人が始まるタイミングでそのバタバタ感が面白そうだと思ったので、そのまま入社したんです。
あと、 PayPal って起業家がすごく多いんですよ。
初期の立ち上げの一人がイーロンマスクだったりしますし、あとピーターティールもPayPal の創業者ですよね。
もう一人いるマックスレヴチンも PayPal の創業後はスライドという会社を立ち上げて、現在は Affirm という会社で決済に関わる事業をやっています。
起業家をたくさん輩出している環境ってどんなところなんだろう?と興味をもってPayPalに入りましたね。
佐藤 裕介氏:でも、PayPalを退社したあと、コイニーとして決済で創業をしているわけじゃないですか。
決済の分野で起業してるってことは、決済に面白さを感じたってこと?
佐俣 奈緒子氏:PayPalで仕事をしているうちに決済が面白いと思ったし、日本の決済に違和感を感じることがあって。そんな理由から自分で事業をやろうかなと思ったんだよね。
佐藤 裕介氏:僕の簡単な経歴を話しますと、
もともとGoogleでサラリーマンをやってまして、その後 フリークアウト という広告テクノロジーの会社を創業し、去年の1月末まで代表をしていました。
去年の2月から奈緒子ちゃんと同じくheyを作って経営してます。
後は M.T.burnという広告技術の会社も28歳ぐらいの時に創業して LINE に買収してもらいました。
その他、僕個人でスタートアップ投資をやっています。
たとえばアフリカで投資している会社は、ペイスタックというナイジェリア版Stripeのような会社です。決済分野ですがすごく伸びています。
ということで、皆さん創業してサービス化した時は、THE SEEDかベンチャーユナイテッドか僕にぜひご一報いただければ、何かお手伝いできることがあるかもしれないのでよろしくお願いします(笑)。
本日のテーマは「小売と決済」ですよね。
実は、僕自身はGoogle時代含めてずっと広告技術の仕事をしてきまして、いわゆるeコマースや決済の領域の仕事を始めたのは去年の2月からなんです。
だから決済に関してはビギナーなんですよね(笑)
冒頭のお話でみなさん知っていただいたと思いますが、佐俣はめちゃくちゃ決済のプロなんです。日本で10人ぐらい詳しい人たちのなかの一人と言ってもいいほど。だから皆さんが彼女の話を聞く価値は超あるんです。本当にラッキーですよ!(笑)
そして、もう1つのテーマが「小売」ですよね。この担当は一体誰なんだと。
僕自身実は完全に素人です。とはいえ、heyはEC。つまり小売りなのでheyをやりはじめて気づいた重要なことはたくさんあるんです。
僕自身が小売の代表といったイメージで話してしまうとみなさんにとっても、良くないと思うので、今日の小売のトピックについては、僕がheyを一年やってみて気づいた重要な真実についてお話しようと思います。
2. 小売の機能とは?「人の流れ」と「情報の流れ」を持ったメディア
佐藤 裕介氏:小売りって、言われた時にどういう絵が浮かびますか?
佐俣 奈緒子氏:コンビニとか、お店?
佐藤 裕介氏:コンビニとかね。お店。お店そのものを思いつきますよね。
佐俣 奈緒子氏:スーパーとか?ファミリーマートは?小売?
佐藤 裕介氏:小売ですね。
佐藤 裕介氏:花王は小売りでしょうか?
佐俣 奈緒子氏:花王はメーカーだから違いますよね…?
佐藤 裕介氏:そう、花王はメーカーですよね。
皆さんも恐らく小売というと店頭そのものをイメージされると思います。
もうちょっと小売について抽象度を上げると、僕の解釈では、小売はメディアの一種であると定義づけています。
人と物、消費者と財があり、それを繋ぐ。基本的に、小売というのは媒介する役割として存在している。そして、その形態のひとつが皆さんが多分ご想像したようなリアルな実店舗。お店の姿形をして存在しているっていうのが小売りのあり方のひとつというイメージですね。
小売りそのものを「機能」として、分解して考えるのであれば、小売は基本的には人とモノを繋ぐメディアです。人の流れと情報の流れをもっているっていうのがメディアと定義されています。小売りも基本的には人と情報の2つによって構成されているんです。
では、ファミマでいう「情報」とはどのような点が挙げられるでしょうか?
棚に特定A の商品があるというのも、コンテンツですよね。
店頭というメディアからすると、コンテンツがその商品そのものだったりします。
販促活動で、なんらかのポップがついているのも情報のひとつですよね。そのお店に入って棚を見て、新商品Aがあるということをそこで知るっていう過程は、そのメディアで特定のコンテンツを摂取した、つまり認知していると解釈できるのかなと。
このスライドに書いてある通り、メディアは消費者行動に影響をあたえます。そして、メディアそのものはテクノロジーによって影響を受けます。
例えばこの真ん中の赤丸がメディアとしての小売りなんですけれども、小売の形っていうのはテクノロジーから大きな影響を受けています。
自動車はまさにテクノロジーの役割を果たしていますよね。
自動車が発明されて小売の形態ってものすごく変わっているんですよね。特に北米では、影響力が大きかったと思います。
自動車というテクノロジーが生まれ、それを消費者が使いこなすことで郊外型の大型店という新しい小売形態、つまり新しいメディアが生まれているんですよね。
自動車というテクノロジーが存在しない世界では、郊外型でお店を持つという考え自体そもそも成立しませんでした。誰もそこに到達し得ないから、そもそも店をそこにつくる意味がないです。
自動車が出てきたことで、郊外型の大型スーパーや大型総合スーパーなどが生まれてきた。この例が一番わかりやすいかと思います。
3. 金融テクノロジーと大型百貨店の登場
小売の歴史を遡っていきましょう。
小売そのものは昔からある営利活動のひとつです。
昔の小売は、家族の自営という形態が一般的でした。八百屋さんや呉服店などのお店はわかりやすい例ですよね。
しかし、日本で、近代型の小売りビジネスがスタートしたのは1900年代初頭あたりです。
1904年(明治37年)に三越呉服店が呉服だけではなく、様々な商品部門を持つ総合型の小売店に進化した。それが現在の三越百貨店です。
そして、この百貨店というメディアを誕生させたのは金融テクノロジーですよね。
自宅の一階でお店を開いて野菜を売るときには、大規模な初期投資は必要ないでしょう。しかし、かなり規模の大きい百貨店を作る場合、当然その個人が背負えるリスクだけでは作れないんですよね。
今では当たり前ですが、明治時代の中では、金融テクノロジーが発達したことによって、少ない資本でも起業ができるようになりました。金融テクノロジーの進歩をベースにしてこのような業界が生まれてきたのです。
そもそも商店街にあるような家族経営のお店だと、1店舗に1カテゴリーしか取り扱われていないですよね。
A と B と C と D と E を買いたいとき、それぞれを取り扱う店舗にわざわざ出向かないといけないってシンプルに面倒くさいじゃないですか?
だから大型の百貨店でそういった商材をまとめて販売するのは、ユーザー利便性を向上させる側面もあるんです。百貨店がこのような近代化の最初だって知ってました?
佐俣 奈緒子氏:知らなかった。
佐藤 裕介氏:そう、三越が呉服店であるということぐらいまでは一般常識として知っていたけど、そこまでは元々知らなかった。
その頃の決済は、基本的には1つのものに対して 1つの対価っていうのは組み合わされていたから、現金決済の頃かな…どうなんだろう?
いわゆる小切手的なものはもうあったのかな?
佐俣 奈緒子氏:日本には、小切手のようなものはないよね。
クレジットカードの発明は1960年代なので。基本、一対一の媒体取引で買ったものをその場で払う、もしくは、B to Bだと「ツケ」みたいな存在はあったかもしれない。
佐藤 裕介氏:「ツケ」はあったのかもね。
佐俣 奈緒子氏:あったとおもう
佐藤 裕介氏:八巻さん、ツケはあったの?
八巻 渉氏:ありました。
佐藤 裕介氏:あったんですね。
八巻さんは日本で2位ぐらいに決済について詳しいひとです。だから、今日はもう10位以内の詳しい人が二人もいて、決済のことに関しては頼りがいのある人達が集まってるんですけどマジで小売はきついんだよね。こういう一般論話すのが一番きつい。(笑)
※八巻 渉氏:2011年に株式会社カンムを創業。株式会社カンムは、アプリで簡単に、誰でも作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード(https://vandle.jp/)」を提供。
佐藤 裕介氏:パパママショップの頃のツケって現実的なんですよね。
お客さんがみんな知り合いだから、その商店の家族の知り合いとか友達とかがやってくるわけですよね。
誰に売ったか分かってるから、その人個人の信用でお金は後からでも良いですよね。それが原始的なツケ払い。
けれども、店舗が大型化して、知らない人がお客様としてやってくる状態になると、アナログな信用創造は難しく、ここにテクノロジーが間に入る必要があります。
4. 総合スーパーの始まり:60、70年代の「テレビ」の強力な磁力
このあとの小売の大きな変化は、1950年とか60年代ぐらいから日本で起こりました。
日本の最初のスーパーってどこだと思います?
佐俣 奈緒子氏:知らないなあ。
佐藤 裕介氏:僕無邪気にダイエーとかかなと思ったんですけど、違うんです。
実は紀伊国屋なんですよ。青山の紀伊国屋が一号店なんですよね。
日本の総合スーパーのはじまり1950年。そして、1960年代ぐらいからは、急激に広まります。
つまり、小売りの構造が大きく変わっているんです。つまりテクノロジーの変化がおこっているんですよ。それってどんな変化かわかります?
佐俣 奈緒子氏:家電?
佐藤 裕介氏:そう。テレビ。
なぜ、TVが総合型スーパーを生むのでしょうか?
テレビは、超強烈な磁力を持っていました。当時の日本の都市部のテレビのチャンネルは3〜4つくらいだったんです。
今は、地上波だとチャンネルの数は8個〜10個あたりだよね。
当時はエンターテイメントコンテンツはテレビで摂取するものであって、しかも全員がそのどれかしか見てない。
だから情報の総数は、その4チャンネル分ぐらいしかなかったんです。つまり皆がほとんど同じものを見ているんですよね。
でも今は、TwitterやInstagramのようなSNSがあって、それぞれのタイムライン当然、それぞれフォローしてる人の性質によって全くコンテンツは変わりますよね。
今から60年、70年前の人たちは、ほぼ3, 4 種類の総数からしか情報摂取をしていないので、同じような前提条件をもっていて相対的に、同じような考え方になりやすい環境だったんです。
5. 総合スーパーの普及:テレビCMと大量生産による商品
では、総合型のスーパーが時代背景のなかでどのようにして生まれてきたか話します。
当時の小売りは、床あたりの売り上げをどう最大化していくかというもので、床効率をどんどん改善していました。
日本だと、一坪当たりの単価や、面積当たり販売効率性をどれだけ高められるか、というのがビジネスを成長させていくための一番重要な因子だったんですよ。
その上で、スーパーはテレビ、CMの発明のおかげで皆が同じものがほしくなる環境を作りました。
同じものが求められるのであれば大量に生産できます。大量生産すると価格がどんどん安価になっていって、価格がどんどん安価になると色んなものをたくさん買えるようになります。
このような仕組みで、スーパーはCMで流れている需要のある商品の在庫を積んで安く提供し、様々な種類のニーズを解決する商品を同時に買わせる場として発達したんですね。
スーパーは大量消費、ベストプライスの時代にすごく合った業界です。この時代だったからこそめちゃくちゃ伸びたのです。
大量生産をするとモノの単価が安くなります。つまり、この時代は大量生産がベースだったからこそ、いろんなものをたくさん買えるようになったんです。
大量生産はとにかく多くの人のニーズに適合する物を作るので結果的にニッチなニーズは無視されるようになります。
6. 店舗側が交渉力を持つ時代:「商品」よりも「陳列棚の確保」が重要に
大衆向けの小売業態であるGMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)の時代が、1950〜60年代ぐらいから始まって、一般化していきます。けれども1980年あたりから、店舗側の交渉力が生産者側よりも強くなっていきます。
なぜそうなるのでしょうか?
大量生産が極まってくると、捉えるニーズが薄まるのでその商品の特徴も薄まるんですよ。そして、商品が薄まると 差別優位性が無くなってくるんです。
最大公約数をとった商品は、尖るわけがないんです。商品というより、コンテンツと捉えたほうがいいかも。
結果的に差別化できるポイントがどんどん少なくなってくるので、お店の陳列自体が重要視されるんですよね。
具体的に深ぼると、「いい棚に並んでいるか?」「数多いスペースがとれているか?」「目の高さを取れているか?」といった点。
したがって、メーカーが売上を作るためには、ちゃんとお客さんの目のつくところに商品(コンテンツ)を置いてもらわねばならないというわけです。
小売りサイドの交渉力の方が作り手(メーカー等)に対して強まっていくという構図ができあがってしまいました。
日本で取り扱い高が一番なのはどこなんだっけ?
佐俣 奈緒子氏:イオン
佐藤 裕介氏:つぎはどこ?
佐俣 奈緒子氏:セブン&アイ
佐藤 裕介氏:そう。となると、セブン&アイとかは交渉力が強いわけです。
つまり、ひとつのメディアとしてもかなり大きな存在。
メディアをやってる人間にとって昔は Yahooトピックスに転載されることは、もう最高のご褒美だったんですよね。
Yahooさんはものすごく巨大なメディアです。Yahooトップのトピックスに自分たちのコンテンツが載ったら、それ相応のトラフィックをYahooさんから獲得することができます。そして、そのトラフィックが広告売上につながるんです。本当にありがたい訳ですよ。
それと同じ構造が、小売というメディアとメーカーの中でも生まれてきているというイメージです。そして、ようやく小売の歴史の最後に移ります。
7. スマホが起こす「小売のコスト革命」:Amazonの売上構成
今皆さんが生きてる時代では、小売というメディアにどのような変化が起こっているか。1つ目はやはりインターネットによる構造の変化ですよね。ECサイトが出てきたのはかなり大きな変化です。
EC自体は1990年代半ばから ECビジネス としてスタートしています。しかし、本当に一般化したのは、おそらくスマートフォンが出てからですよね。そう思ったのでスライドの表記では、一応2010年にしました。
小売というメディアが変わる前提は「スマホ」です。
インターネット・スマホが普及して、誰にでも使えるようになったことで、お店をもつコストがほぼゼロになったのです。これは小売にとって一番革新的な変化です。
これまで小売店のビジネス構造の中で最もコスト負担が重かった部分は2つありました。1つは人件費ででもう1つは場所代です。場所がかなりのコストを占めていました。
けれどもそれが突然0円になるわけです。
従来型(総合スーパー型)でしたら、坪売り上げを改善していく戦いなので、床効率を超シビアに求めていました。けれども、その「床」自体が不要になったことで、そもそものルールが破綻するわけです。
そして床効率を追求する必要がなくなった結果、ニッチなものを大量に品揃えすることができるようになったんですよね。そして、この構造で一番上手に商売を行ったのがAmazonです。
通常の本屋は床効率を重視します。だから、ベストセラーの本か当月に出た新刊で床のかなり大半を占めるんです。実際に本屋の売上構成を見ると当月出た新刊本とベストセラーで 90%程になるんです。
けれどもAmazon は床代がないので月に2冊しか売れないようなマニアックな本や超硬い学術書とかを売ることができるんです。
結果としてアマゾンの売上構成の半分はベストセラーと新刊本で構成されています。けれども、残りの半分はニッチなコンテンツなんですよね。
月に数冊ずつ売れるものを大量に積み上げて、売り上げの半分を構成する。これはオンラインの小売りが起こす革命的な出来事です。
これは、本当に超すごいことなんです。けれどもこの状態が当たり前の世代だから凄さを理解するのは難しいかもしれないですね…。
もうひとつ言わせてもらうと、ここでまた、社会変化が1つ組み合わせられるんです。
8. メディアとテクノロジーの多様化がニーズを分割する小売とメディアの深い結びつき
オンラインの小売店、つまり ECサイトというテクノロジーがこのメディア(小売)を変える大きな役割を果たしたとすれば、もう1個重要な論点があります。
Twitterなどのタイムライン上では、皆さんが好きなものとか、興味を持ちそうなものとか、そういう個別化されたコンテンツを送り届ける技術があります。
特に2012年以降個別化や推薦技術は機械学習技術の進展と共にかなり発展しました。
その発展によって人間の見ている世界がどんどん細かくなっていっているんです。
つまり、皆さんに届くコンテンツがパーソナライズされているが故に、信じているもの、好きなもの、大事なもの、知っているものが分散するようになっているんです。
先程、スーパーの時代の話をしましたよね?それと逆のことがこの瞬間に起こっているんです。皆見ているものが人それぞれ違う。だから好きになるものもバラバラになるんです。つまり嗜好がバラバラになって、需要のサイズそのものも小さくなって分割されているという状態なんです。
そして、その人間の変化は、社会が豊かになった事で嗜好性が多様になっていると言われがちです。けれども、平均所得が低くてもスマホがある国は嗜好性がバラバラになっているんですよ。
だから価値観の多様性が生まれるのは、豊かになったから多様になるのではなく、メディアやテクノロジーが変わってるから多様化しているんです。
私の経営しているフリークアウトでは、アジアビジネスが加速していますが、インドネシアの人々の嗜好性はかなりバラバラです。彼らはかなりの時間をFacebook とかInstagramに費やしているから。皆さんとほぼ同じなんですよ。
当然その GDP のサイズや 一人当たりのGDP、ないしは個人の所得や物価という基準で見たときはまだまだ発展途上です。けれども価値観はみんなと同じくらい超バラバラなんです。ひとりひとり見ている世界が全然違う。
9. D2Cの本質:「 いまのところ CRM 革命」
小さいニーズに対して何かの価値を届ける時ってそのニーズの濃度が上がっていくんです。
こういう社会環境の変化が最近話題に上がっているD2Cという新しい業界を生んでいるのかと考えています。
ちなみに今僕が投資検討する…というよりは投資してくれと連絡をいただいてる人たちの8割ぐらいが D2Cなんです。
D2C自体はいいビジネスだと思います。けれども、超急成長・巨大化を求めるとしたら結構大変だと考えています。
インスタの広告で D2Cっぽいやつうっかり買っちゃったことがある人 ?
(数名が手を挙げる)
佐藤 裕介氏:あるんだ!何買っちゃったの?
参加者:化粧品です。
佐藤 裕介氏:化粧品ね。でもやっぱり購入にまで至ってる人は少ないね。
D2Cにおいてすごいと言われていることの1つは、作り手がそのまま自分のお店になって皆さんに商品を届けることができるというところ。つまり、小売マージンがいらないということですよね。
ホールセールとか代理店さんとかのサプライマージンがいらなくなるので、結果的に皆さんに安く物を届けられる。ないしはその浮いた分を商品原価に戻すことで、同じ値段でも相対的に品質が高いものを売ることができるというのがD2Cのすごいところ。
…という風に理解されることが多いんです。でもそれって誤解なんですよ。大手のスケールメリットを甘くみてはいけない。
では、なにがすごいか。D2C のいま時点における重要なこれまでとの差分は CRM 革命と TAC の消滅。
まずは「TACの消滅」。TACとは、Traffic Acquisition Cost。いわゆる集客です。
小売店ないしブランドは、基本的に自分たちの商品を誰かに知ってもらうために集客をする必要があるんです。だから通常は、その集客に対してすごい大きなコストを支払っている。
小売店の場合のTACはほぼ店舗の賃料ですね。
これがD2Cの場合はどう変わっているか。うまくいってる D2CはほぼこのTACを支払っていないんですね。
例えば17kg。 彼らは日本だとすごくうまくいっている D2Cブランドのひとつだと思います。彼らって広告宣伝費ほぼゼロなんですよ。売上にしめる広告宣伝費の割合、つまりTAC割合っていうのがほとんどないんですね。
なぜそうなるか分かりますか?
17kg のインスタアカウントフォローしてる人?
(会場の半数が手を挙げる)
おお…!結構フォローしてる。皆さんの場合研究材料としてフォローしてそうですね(笑)。
ギャラリーってこういう風に作るんだ、ストーリーズここで切れるからここに文字を置くんだなとか、ていうような一般消費者と違う目線で見てそう。
そう。まさにそうやって、インスタアカウントで直接顧客と接点を持つことで、TAC をほとんど無視できているんです。
また、さらにこのようなソーシャルチャネルが、CRM システムとして機能している。しかも、めちゃくちゃちゃんと視認される CRM です。インスタのフォーマットでは 1 日数度、リッチな動画や画像コンテンツを閲覧することに違和感がないですが、これが企業メルマガだとしたらどうでしょう。彼らが商品を出せばそれがインスタに上がって、顧客がそれを見てECサイトにアクセスして物を買う。とんでもない CRM 革命が起こっています。
10. heyを始めて一番驚いたECプラットフォームの「集客」
佐藤 裕介氏:僕らのお客さんも、TACを必要としなくなっているということ。もっと具体的にいうと集客支援をもう必要としなくなっていることにめちゃくちゃ驚いたんですよね。そして、顧客との高濃度な継続接点をソーシャルチャネルでメンテナンスし続けている。
heyでは、STORES.jpというECサイトを簡単に開設して運営できるプラットフォームのようなものを提供しています。主に個人や2、3人でやっているような人たちが使ってくれていています。
彼らは非エンジニアなので、ECサイトを自分で作れません。人に頼むと高いですし。だったら僕らとかBASEみたいなサービス使って、簡単に無料でECサイトを作ればいいんです。
けれども、プラットフォームを提供している僕らは直接的な集客支援をしてないんですよ。
たとえば百貨店さんだったらうちは XX ですって色々頑張って、自社店舗にお客を呼んで、その百貨店のなかに入っているお店にお客さんを流すじゃないですか。これを楽天さんとかAmazon さんはインターネットでやっています。
楽天は楽天スーパーポイントやセールとかで人を呼び寄せています。その楽天の中にいる店舗さん、小売の皆さんに人を流し込んでいくっていうこの価値がめちゃくちゃ楽天に出店する人たちからすると高いわけですよね。
Amazonも、Amazonという場に来てくれる人たちが自分のお店に来てくれるだろうと思ってAmazon に出店するわけですね。これまで伸びてきたEコマース事業者は、そういう会社がほどんどなんですよ。
マーケットプレイスとかモールって呼ばれていますね。もっと身近な例で言うとメルカリもそうですよね。自分が持ってるものを売りたいと思った時に、メルカリが集客をしてくれていてそのアプリの中に、人がたくさんいる。だからその中に商品を出せば来てくれるという構造。
ECのプラットフォームをやるなら絶対に集客という価値を提供する必要があると思っていました。
けれども実は、その価値提供は絶対に必要な価値ではなかったのです。STORES.jpの数字を見てその点に気付かされました。ショップオーナーさんたちが自助努力で集客してるんですよ。
流入口はそれぞれのSNS など。InstagramやTwitter などを通じて自分たちの見込み顧客と直接つながって継続的に接点を構築している。
新しい商品が出たらそこに投稿すれば0円。0円で集客が可能でその集客で充分な売り上げを獲得しているんですよね。
佐俣 奈緒子氏:いや、本当にそう。
全然知らないブランドがたくさん売上をあげていて。それでもブランドが全くわからないんですよ。
佐藤 裕介氏:正直 1 店舗も知らなかったよね? 上位のやつってね。
佐俣 奈緒子氏:でも売れているんだよ。
佐藤 裕介氏:そのくらい世の中が分散されているんですよね。
コンテンツがどんどんパーソナライズされて個別化されて届く時代になったからこそ濃い繋がりが生まれて、TACなし、CRM 革命による継続的な関係構築で売り上げを立てられるという状況が生まれています。
いろいろなパターンで成立する例があると思いますが、基本的に前提となるのはそのTACを極小化と継続的かつ信頼できる顧客接点の構築ができてるかどうかというところ。そこが鍵です。
ざっとまとめると前提となるのは、メディアの変化。みんないろんなものを信じている。そしてどんどん信じられるブランドや生産者と直接繋がっていくようになります。
11. ニューリテール:「体験価値」がデジタル CRM に変換されることを重視した店舗設計
佐藤 裕介氏:オンラインでの小売が浸透したことで、そもそも床という概念自体が無くなって、違う土俵の勝負に変化してきたというのが2010年ぐらいまでの話です。
最近、ニューリテールという概念が提唱されるようになりました。オンラインで買う方が便利で楽ですよね。床マージンもないから安く買える可能性も高い。しかもたくさんの品種や商品から選べるわけです。
そうなったときに実店舗の価値を突き詰め始めたのがこのニューリテールです。
その回答の一番わかりやすいものの1つは体験性。体験を提供する店舗ですね。インターネットでモノを買う場合当然フィジカルな体験の場はありません。
落ち着いて商品を試すために ゆったりとしたレイアウトになっているんです。 この写真のストアは、世界で一番坪あたりの売上が大きいアップル ストアです。
しかもこの店舗で商品を体感した人は その瞬間に買わなかったとしても、オンラインで購入する確率が上がったり、購入する単価が上がったりする というデータがたくさん出ているんです。
例えばナイキストアでは、アプリから取り置きしたりフィッティングやカウンセリングの予約ができたりする。全て、オフラインでの体験価値の向上と同時に CRM 接点を構築している。
顧客との関係を、顧客ベネフィットありきでデジタル化、持続的なものにしているんですね。結果としてオンラインとオフラインの売り上げをミックスさせることで坪効率そのものも最適化しているわけです。
このお店に来て体感した人が オンラインで購入してもオフラインで購入しても 結局お店の価値になる。
その売り上げを床効率に含めれば、元々のApple Store の床効率が上がります。床の効率が上がっていけばもっともっとストアに投資できるということなんですね。
だからたくさん店舗を拡張できるという流れが今 Apple Store では起こっているんです。
テスラもそうですよね。外苑前にあるけど、すごくかっこいい。あ、あとテスラってコイニー使ってくれてるよね(笑)。
佐俣 奈緒子氏:テスラは創業時からコイニー使ってくれているんですよ。ちなみにテスラを買ったことある人いますか…?
…そりゃいないですよね(笑)。
テスラは今一般化が進みつつあるので値段が900万円ぐらいに落ちてます。けれども最初に私たちがコイニーを提供し始めた頃って 1台1,400万円ぐらいだったんですよ。オプションつけてだいたい2,000万円ぐらい。その上、予約金が350万円必要という車。
その決済を我々が提供するというのをやっていました。当時、私達のサービスの 1回の支払額の上限350万円だったのですが、その金額設定はテスラ用にそうしていたんです。
佐藤 裕介氏:すごいよね。みんなカードで買うんだよね。
佐俣 奈緒子氏:みんなカードで350万円、バンバン買うんですよね。
佐藤 裕介氏:テスラもブランドと商品を体験させるために小売を作りこんでいます。ちなみにテスラってネットでも買えるんですよね。
12. 決済の本質:様々な情報がデータ化されていること
佐俣 奈緒子氏: 決済を分解すると認証と信用だと考えています。
Apple Store に来た人が誰か分からないとその人がその後オンラインで何か買ったとしてもに床効率が上がったかどうか分かりません。「誰が」どの商品に興味をもっているのか把握する「場」がオフラインで、「誰が」お店に来て購入したかどうか確かめる「場」がオンライン。
何を購入したのか全部データ化するというのは決済のひとつのコアな部分なのかなと。スマホやインターネットの普及によってすごく便利になったというのは決済も小売と一緒です。つまり共に進化しているのがすごく重要なのです。
佐藤 裕介氏:そうだね。
これまでの実店舗って誰が来たか(?)1ミリも分かんなかったんですよね。
現金での支払いだと、A という商品が1個売れたということはPOSレジがあればわかるんです。けれども、そこに誰が来ているのかは1ミリもわかりません。
キャッシュレスの決済とは、結果的に取引をデジタルデータとして保存できるということですよね。具体的に話すと、購買者がIDという形で記録されて、誰が今このお店で何を買ったかわかるようになる。
けれども、そういったデータが決済の時にしかわからないと、体験店舗はけっこう難しいですよね。なぜならそこで商品を買っていないから。買わないとわからないから困る。
そこで、その点を解決したのが Amazon GOなんです。 Amazon GOは、来店時に入店者IDで個人の特定をする仕組みになっています。なのでそこに誰が来ているのかもわかるようになっているわけです。
そうするとオンラインで購入してもらった人と、店頭で何かを体験してた人がつながってちゃんと体験した価値があったの実測できるようになってくるわけです。
佐俣 奈緒子氏:誰がどこで何を買ったかという情報がデータとして溜まれば溜まるほど、「その人がどんな人なのか」「どんな購買行動をしてていくらぐらい使っているのか」というのがわかっていきますよね。
そんな風にして、その人の信用のデータがどんどん溜まっていくのです。
様々な情報がデータ化されていることが決済の本質だと思うんです。だから、よく言われている QR とかクレジットカードがどうかとかいう、いわゆる「手段」の部分は本質ではないのかなと。
佐藤 裕介氏:やっとお金を払ってくれる人が誰か分かったということなんですね。
冒頭に話したように昔の家族型経営の商店とかって、知り合いしか店に来ないから誰が何を買っているかとかもわかっていた。けれども1900年の百貨店の登場以降店舗が大型化して、誰が来るかわからなくなりました。そんな時代の中でスケールを大きくした状態で過去の状態が戻ってきたというのが今のキャッシュレス決済の本質の1つなのではないかと思っています。
何度も話していますが、小売はメディアです。つまり、このニューリテールが新しいメディアの形だとすると、冒頭で話したとおり、テクノロジーの変化の前提があるわけです。
では、新しい体験型ストアはどういうテクノロジー背景で生まれているのでしょう。1つは実店舗のWeb 化。 Google Analytics のような実店舗の体験を記録するための仕組みがこれまでほとんどなくて、それがテクノロジーによって、可能になっています。
13. 小売と決済の結びつき
例えを出すなら、キャッシュレス決済の IDはその1つですよね。おかげでユーザを特定できるようになったり、Amazon GO みたいにセンサーとかカメラ認識技術を通じて店舗に来てる皆さんの行動や顔表情が分かるとか。
最近ではデータがある程度収集できるようになっていて、それが結果的に実店舗の体験の改善するための重要な指標になっています。
電子通貨の ID が分かるようになれば、オンラインで買ってるAさんは店舗での購入の特徴などもわかるようになります。店舗ではこういうタイプのものを買うけれどオンラインではこういったものを買うというデータが溜まってきます。
そのデータを元に、分析するのでオンラインの商品におくべきモノとか店舗には置くべき物がわかるようになります。
そうすることで在庫管理が一元化できるようになりますよね。現在だと、ネットと実店舗用と倉庫用とバックヤードで別々に在庫を管理しています。故に、オンラインで売れたものはどこかの倉庫から発送されるのを待つしかありません。けれども、その在庫が店頭にあるのであれば、そのお店から送った方が早く着きます。
加えて、店舗のポップアップ化が起こりやすくなるでしょう。ポップアップショップみたいなお店をだすのってかなり大変なんです。賃料の問題もありますので。お店を持つのは、実はかなり大変でリスクもあるんですよね。なのでそういう床在庫をもっともっと細切れにして展開できるんじゃないかと。
オフィスではWeWorkがそれをもう既にやっていますよね。短期で手に入れられるようなことがテクノロジーの進化を通じてできるようになっているんです。最近の潮流は、こういったテクノロジーの変化背景に基づいて体験型ストアが生まれてきてることなのかと思います。
現在の小売の進化には決済の進化が伴っているわけです。
…ということで最後は奈緒子ちゃんが会社の宣伝をして終わりましょうか(笑)。
heyとは
佐俣 奈緒子氏:heyは、「Just for Fun.」を掲げていて、濃度高くお客さんと繋がっていて届けたものをすごく喜んでもらえる。そういう楽しさをサポートをする会社をやってます。今150人ぐらいでSTORES.jpとコイニー、それから新サービスなど色々やってるので、とても楽しいです。
佐藤 裕介氏:今日は学生さんが多いですよね。
あと起業するような人が多いかと思いますので、もし起業はしたいけど、テーマがよくわからないという人がいれば、ぜひDMをもらえればと思います。
さっきそのスモールチームが熱いという話をしてくれたんですけど、それはもうずっと今日のテーマだったんです。
佐俣 奈緒子氏:上三つですね(スライド参照)
社会がどんどんどんどんバラバラになっていると見えてる世界がバラバラになる。みんなニッチになっていく。小さいニーズがたくさん存在する世の中へと変わっている。大量生産する大きなケイパビリティと資金がある。大量生産するから安くできるって言うのは大きい会社の強みじゃないですか。
普通に考えて個人では大量生産できないですから。でも今はみんな嗜好性がバラバラだから大量生産メリットがすごい薄い。100万人のためにモノを作るんじゃなくて1000人のために物を作っている人たちの方が勝ち目がある時代になってきているわけです。
1000人のためにもの作るんなら、1万人のために物を作るメーカーという存在があまり必要でなくなってくる。10人でのチームでいいとか5人のチームでいいとかっていう風になってくる。
それを支えるのがダイレクトコネクション。あなたの濃い嗜好性みたいなもの同士がちゃんと直接繋がれるインフラがインスタとかツイッターがソーシャルネットワークですよね。
スモールチームでビジネスをするのは、結構大変なんです。経理とかECサイトの作り方とか決済とか。でも、今は超安価なビジネスケイパビリティーがたくさんあります。大きい会社でないとできなかったことがどんどんどんどんクラウドソフトウェアのおかげでできるようになる時代になってます。
スモールチームや個人の人たちがこれからどんどんどんどんビジネスを立ち上げて活躍していくような世の中になっていくと思っていて、それを支えられる会社にしようというのが我々の目標です。
佐俣 奈緒子氏:あと、簡単な告知なのですが、heyってこんな会社だよ!と紹介しつつオフィス案内したりみんなでご飯食べたり飲んだりするHello heyというイベントを隔週木曜日20時からやっているので興味があればハロヘイに来てみて下さい!
佐藤 裕介氏:学生さんとかも結構来ているよね。
佐俣 奈緒子氏:結構来ていますね、学生の方。いろんな人に会えるし、社内外問わず、エンジニアだったりデザイナーだったりもいます。単純に相談に来ていたりすることもあるので、ぜひ本当に気軽に遊びに来てもらえればいいなと思います。
佐藤 裕介氏:とはいえ今日は、おそらく起業したい人が多いと思いますのでそういう方々がいればぜひ何をやるか教えてください!当然、投資とかも含めて僕とか奈緒子ちゃんがサポートできることがあるのなら、相談できればと思うので、ぜひ。
どうも今日はありがとうございました。
追記:2020年5月29日
お話していただいていた佐藤さん、佐俣さんが経営されているheyさんが、「hey note」にて、会社の雰囲気が分かる記事を沢山投稿されています。
▼hey note
https://days.hey.jp/
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