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「会社の思想」を伝えるコミュニケーションの取り方、ラブグラフ駒下氏 #起業家1年目の教科書

起業前後には、創業メンバー集め、事業選定、資金調達について相談出来る相手もなかなかおらず、悩みが尽きることはありません。「起業家1年目の教科書」では、創業期の起業家から多数出た質問を中心に、現役で活躍する、様々な若手起業家から生の声をいただいています。

今回は、「幸せな瞬間を、もっと世界に」というコンセプトで、カップル・家族・友人との想い出を写真に残すフォト撮影サービスを運営するラブグラフの駒下氏に、「起業家1年目の教科書」インタビューとして語っていただきました。

(駒下さんプロフィール)

駒下 純兵(こました・じゅんぺい)|ラブグラフ代表取締役。1993年生まれ。学生時代に「幸せの連鎖を起こしたい」という思いからカップルの撮影を行うように。カップル・夫婦・家族・友人同士の自然な表情や瞬間を撮影し「想い出」をカタチにするフォトサービス「ラブグラフ(Lovegraph)」を2015年に開始。今年4月には「Forbes Asia Under30」にも選出された。@komage1007

【1. 事業選定の方法】きっかけは、ある「広告」から受けた感動

駒下 純兵氏:はじめは、起業する気は全くなくって。元々「戦場カメラマン」になりたかったんです。戦場の写真を撮って、その様子を世界に届けることで、戦争をなくしていけたらなあと、漠然と考えていて。

けれども、戦場の写真を撮って世界に届けても、戦争はなくならない。だからこそ、もっと別の仕組みで、写真を通して何か出来ないかな…と考えていたんです。

そんなときに、BEAMSの広告を見て、今のコンセプトにたどり着いたんです。ちょうど東日本大震災の直後で、日本全体沈んでいた頃だったんですが、「恋をしましょう」という言葉にカップルの写真。

このカップルの写真を見たときに「自然さ」に惹かれたんです。僕もこんな写真を撮りたいなって。

そこから自分で、カップルの写真を撮影するようになって、仕事としても撮影していました。その後、その活動が発展していって、現地のカップルと現地のカメラマンをつなぐサービスへと転換したんです。そしてそこから法人化して、起業に至りました。

僕らの場合はやりたいことを積み重ねて、段階を踏んだ先に今の事業があります。だからマーケットから事業を選定しているというより、自分たちの信念やビジョンなどをもとに、どんなプロダクトをつくって事業にしていくか?という課題をもって事業をはじめましたね。

【2. 創業メンバーの見つけ方】「本当にやりたいこと」をSNSで発信し続けた

駒下 純兵氏:集め方はもちろん、それぞれの性格とかタイプによりけりだとは思いますが…。僕の場合はとにかく大きく声を出すことを意識していました。

僕は学生起業だったので、自分にスキルがないことも重々承知していました。だから「完璧」であることよりも、とにかく自分の想いとともに声を出すことを意識して、「カップルの写真を撮って、人を幸せにしたいんです!」と。

とにかく恥ずかしがらずに、言いまくりました。そこまで言い切るためにも、自分自身に「本当にやりたいことなのか?」とも問い続け、考えきった上でTwitterで発信し続けました。

そうしたら、面白そうやな…っていって、ラブグラフにCCOの村田や事業開発の宮村が集まってくれたんですよね。

元々、創業メンバーは3人でしたが、僕以外の二人は就職が決まっていました。けれどもラブグラフとしての事業はどんどん大きくなっていって、僕だけでは厳しくなってきたんです。

だから、そのタイミングで今後のことを3人で話し合いました。その結果デザインスキルのあった村田にフルコミットしてもらい、ビジネスを学ぶために宮村には一旦ラブグラフを卒業することにしてもらいました。

会社を作ってから5年目になるのですが、村田はフルコミットしてくれていたものの、彼女が何回辞めてもおかしくなかったくらいに、辛いことはたくさんあったと思うんです。それでも辞めずに残り続けてくれました。

僕が事業について考えていることに対して、本当に共感して、信じてくれていたんだと思います。だからこそ、僕も村田に対して、絶対裏切らないように頑張ろうと思っていました。

メンバー同士で小さな不満を持ったときにも、互いに腹を割ってコミュニケーションをとれるかどうか。そして、信頼し合えるかというのは、何よりも大事だったのかなあ…と感じています。

そして、3年半後に、宮村はラブグラフに戻って、今は創業メンバー3人とLINEから入社してくれたCPOの吉村と事業を進めることができています。本当にありがたいです。

創業メンバーを誰にするのかというのは、互いに信頼できて、腹を割って話せることだと思うんですよね。

【3. 創業期に気付けて良かったこと】会社の思想を大事にし、コミュニケーションを細かくとるように取り組む

駒下 純兵氏:僕の創業期の反省は、2点あります。1点目が「コミュニケーションを緻密にとるべきだということ」、2点目が「選択と集中を軸に判断するということ」です。

創業して最初の方は、僕自身が「僕が考えていることわかっているよね?」というスタンスでコミュニケーションをとっていたことを、かなり反省したんです。

わざわざ言わなくてもわかるだろうという前提で、細かい部分までこだわってコミュニケーションをとっていなかったのが原因で、メンバーが辞めてしまうこともありました。

そういった反省もあるので、メンバー間のコミュニケーションをきちんと緻密にとっていくことの大事さに気づけたのは本当に良かったですね。

今、ラブグラフでは、細かなコミュニケーションをとるために、毎週10分、朝会の時間に「ラブグラフ虎の巻」という僕がみんなに話す時間を設けています。

この取り組みを行うきっかけになったのは、ほぼ日の糸井重里さんの話をきいてからです。

ほぼ日では、毎週2時間ほど時間をとって、糸井さんが最近考えていることとかを共有するようにしているそうなんです。この時間をつくることによって、「ほぼ日っぽさ」みたいなのがみんなに浸透していっていて、社長がわざわざ介入せずとも社員同士でほぼ日らしい判断をできるようになっていると話を聞きました。

2時間までの時間は取れていませんが、毎週この時間をとったことで、以前よりもラブグラフの思想がみんなに浸透して、社内のコミュニケーションが円滑になったんです。

「あぁ、そういえば1年前から駒下さんこんなこと言ってたよな~」とか「確かにこういう思想をもっているなら、この判断をするよね。」

と言った感じで理解してもらいやすくなったのではないかと感じています。

目先の売上ではなく、事業を伸ばすために必用なことに集中する

駒下 純兵氏:僕の経験として、クライアントワークとの関わり方について少し反省しているんです。創業期は、クライアントワークの案件を持ちかけていただいたら、目先の売上に惹かれてその仕事を受けてしまったりとか。

もちろん、会社として生きていくために、クライアントワークが必要なこともあります。しかし、スタートアップとして、事業に集中するためにファイナンスをしているのであれば、集中したい事業の妨げになってしまいそうな仕事はしないほうがいいなと。

確かに、会社としてはキャッシュも入ります。けれども、僕らが本当に伸ばしたい事業は止まってしまうんです。

だからこそ、「本当にやるべきことは何か?」「今、集中すべき事はなにか?」をきちんと考えてやることを選択する必要があると考えています。

売上だけをKPIにしてしまうと、そういった判断をしてしまったりする可能性は高い。せっかく自分たちの事業をするための「投資」を受けているのに、自分たちが集中すべき事業にフォーカスできていなかったら本末転倒だと思いました。

だからこそ、そのタイミングで「事業」を伸ばすためのセンターピンが何か、意識すべきだったな…と反省できたことが良かったです。

【4. 起業1年目の教科書】起業家にすすめる3つのこと

駒下 純兵氏:1点目は「言語化すること」。2点目は「本質を見抜くこと」。3点目は「人を愛すること」。この3つですね。

1)言語化すること

駒下 純兵氏:僕はとにかく、1番にこの言語化を大事にすべきだと考えています。自分自身で意味を噛み砕いて、言語化できているかってかなり大切なんです。言語化することで、目標までの行動がかなりクリアになります。特に同じチームで動く場合、言葉ひとつでも解釈がそれぞれ違うことで互いの目指す場所が異なっていたなんてこともあります。そんなことを防ぐためにも、「言語化」って必要なんです。

例えば「会社」という言葉。この言葉を子供に聞かれたときに、「会社」という言葉を使わずしてどう説明するか?といった感じで考えてみるということをしていました。

世の中で普通に使われている言葉こそ、意外と実は理解出来ていなかったり、仲間うちでも認識が違ったりします。

特に会社のビジョンなどで掲げられるような言葉って定義がふわっとしていることが多いんです。だからこそミスコミュニケーションが起こることもある。

それを防ぐためにも再言語化して、仲間に伝えることが大事だと思っています。

言語化することでミスコミュニケーションを防ぐこともできるし、何より自分の中でも思考が深まっていくんです。

2)本質を見抜くこと

駒下 純兵氏:これは、正しいことは何か?というのをきちんと見抜くということです。

自分のエゴを大事にしすぎて変えないというのも、チームにとってよくないですし、一方で変えてはいけないタイミングだってある。だから変えるべきことと変えないべきことをきちんと理解したいと思っています。

僕自身も事業をやっていく上で、いろんな問題・ハプニングがありました。しかも、スタートアップだからこそ変化も大きくて、周りの環境もかなり変わりましたし。

その環境の中で、現れてくる問題にひとつひとつ起こってから対応していっても一生解決しないんです。

問題が起こるのには何か根本的な理由がある。だからこそ、問題が起きたときに「奥にある」根本的な問題とは何か?と見抜かなくてはならないんです。

僕自身は、過去に色々な問題が起こりましたが、実は起業家の先輩から聞いていたことと同じだったりするのに途中で気付いて。

新しく会社を立ち上げて事業をやってる中で起こりやすいハプニングが存在していて、そこには根本的な原因があるわけです。

そんなときに、いろんな先輩起業家の話をきいていた上での共通点とかを思い出して、問題解決に役立てていたんですよね。

「あ、本質的にはこのポイントが同じだったんだ!、この課題だったんだ…!」みたいな。そういう意味では、先輩起業家から話を聞いたり、甘えさせてもらうというのも大事なのかなと。

僕らが1日かけて考えてもわからないことを先輩方は1秒で答えたりするので……。

3)人を愛すること

駒下 純兵氏:これは僕の考えなんですけど、これってリーダーに求められる素質だと思っているんです。メンバーやお客さんとか自分が関わる人達に対して、相手の人生を本気で考えて、向き合おうと努力すること。そして、相手に少しでも貢献しようとすること。

そういう姿勢があるからこそ、相手を信頼できると思っています。

他人に対して愛を持つことは大事。けれども、なによりきちんと自分を愛せることが一番大事です。

事業をやっていく上で、自分に嘘をついてしまうタイミングが出てくるんです。

心の中ではしっくり来ていないけれど、儲かりそうだからその仕事に飛びついてしまうとか。

けど、自分をきちんと信じれない中での決断は、メンバーにも伝わったりして、そこでリーダーとしての資質を問われたりすることもあります。

だからこそ、自分に嘘をついていない状態をまずは整える必要があります。「僕が言っていることはうまくいくんだ!」と思うくらい自分を信じて好きになる。その前提があってこそ、相手を愛することができると思うんです。

今、会いたい人

駒下 純兵氏:今、ラブグラフでは、エンジニアを採用したいんです。なのでエンジニアの方に会いたいですね。

僕めちゃくちゃディズニーが好きなんですけど、先日、メルカリの原田さんとランチをして、そこで教えてもらったことがあるんです。

ディズニーが人に魔法をかける「3つの要素」というお話でした。

「アート」「テクノロジー」「ホスピタリティー」の3つ。

ディズニーの世界観はまさにアートの力で創り上げられていますよね。あと、ホスピタリティーのある接客もかなり有名です。

オンラインでファストパスがとれるというのはテクノロジーの一種で、世界観を実現するための効率化や体験の創造はテクノロジーが支えています。

そういった話を踏まえて、ラブグラフではどうかな?と考えてみたんです。

ラブグラフでは、アートとホスピタリティーの部分は今重点的に大事にしているし、そのリソースもあると思ったのですが、やっぱり「テクノロジー」の部分ではまだまだ足りないと。

だからこそ、これからここをもっと強化していきたいと思っているんです。

ということで……

僕らと一緒に、人に魔法をかけたいエンジニアの方がいらしたら、よかったら来てくれませんか??

と伝えさせてください。

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